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グラフィックデザイナーは印刷物のデザインを、Webデザイナーはウェブサイトのデザインをそれぞれ手掛けます。仕事の流れは共に「依頼→製作→納品」で、Webデザインの方が平均年収が高いとされています。
グラフィックデザインにはIllustratorやPhotoshopが、Webデザインにはこれらに加えコーディングの知識が求められます。
デザイナーに向いている人は観察力があり、成長意欲やコミュニケーション能力を持っています。
絵が上手い必要はなく、色弱や色盲でも活動可能です。
グラフィックデザイナーとWebデザイナーの仕事内容
まずそれぞれの仕事内容ですが以下のような違いがあります。
・Webデザイナーは、Webサイトのデザインを手掛ける。(ランディングページ、ホームページなど)
ちなみにアプリのデザインはWebデザイナーではなく、ユーザーの体験をデザインするUI / UXデザイナーが担当する事が多いです。
基本的にはどちらもクライアントワークかインハウス(メーカーの常駐デザイナー)での仕事となり、製作作業はPC一つで完結します。
グラフィックデザイナーとWebデザイナーの仕事の流れ
デザインの仕事の流れは「依頼→製作→納品」です。
これはクライアントワークも、インハウスデザイナー(メーカー企業に所属のデザイナーなど自社のデザインを担当する場合)も同じ。
最初にクライアントの課題についてヒアリングを行います。
デザインの本質は問題解決ですので、クライアントがデザインで何を解決したいのかを徹底的に聞きます。
Web業界では要件定義といったりしますが、最終的な目的から予算スケジュールなど、依頼に関する取り決めを固めます。
ヒアリングを元にコンセプト立案。
デザインの方向性や製作するクリエイティブ点数など細かいところを詰めていきます。
この段階で価格などの見積を出して、クライアント側に提示。
ここでようやくデザイン製作が開始です。
別途撮影が必要な場合はカメラマンと連携をとったり、必要なイラストなどがある場合はイラストレーターに発注をかけたりします。
最終的な納品はデザインデータになりますが、パッケージのデザインなどリアルプロダクトになると見本を作ったり、モックアップといったアウトプットイメージが視覚的に分かるものを作成。
ここまで来たらクライアントに納品です。
しかし多くの場合、1発で納品完了することはなく、修正点などが別途出る場合がほとんど。
最後まで気が抜けませんが、デザインをブラッシュアップしてクライアントが納得するものを納品して製作終了です。
流れ的には上記のような感じで、チームやプロジェクトの規模によっては社内でコンペをしたり、他社とも最終プレゼンでコンペをして競うこともあります。
特に大きな予算でお金が動く場合はコンペ形式であることが多いです。
グラフィックデザインとWebデザインの将来性
将来性についてですが、Webの方がやはり将来性はあるかなと思います。
グラフィックデザインは出版業界が衰退している背景がやはり大きく、広告費削減や費用対効果から企業はWeb広告に力を入れています。
最近ではインターネットの広告のサイバーエージェントが時価総額で一時、大手広告代理店の電通を超えるというニュースもありました。
今後もインターネット広告、すなわちWeb業界は発展していくので、どちらが将来性があるかと問われれば、Webデザインかなと思います。
とはいえ、この世から印刷物が完全に消えるわけではありませんし、今後もグラフィックデザインに一定の需要はあるので、そこまで大きく考える必要もないでしょう。
スキルの違いについて
続いてはそれぞれ使用するスキルについて。
グラフィックデザインは基本的にデザインの知識に加えて、IllustratorやPhotoshopといったツールの扱いが必要です。
ビジュアルを作るというのが仕事なので、写真の扱いやテキスト(フォント)に関する知識も重要になります。
対してWebデザインにおいても、基本的なデザイン知識にグラフィック系と同じツールの扱いが必須です。
その上でWebのデザインをプログラムとして反映させるコーディング(HTML / CSS)といったスキルをもつ必要があります。
以上を踏まえると、スキル習得のために勉強が特に必要なのはWebデザインです。
グラフィックデザインにはない、プログラミングの知識が加えて必要になります。
とはいえ、基本的なデザインの知識は共通なので、グラフィックからWebに転向する人もその逆も多くいます。
最近ではWebデザインスクールで比較的リーズナブルな価格で学習できる環境があるので、まずはそちらで勉強してみるのが良いでしょう。
どっちが稼げる?グラフィックデザイナーとWebデザイナーの年収
ここまでは仕事内容の比較でしたが、続いては年収の比較です。
デザイナーという職業は、いわゆる職人的ポジションでもあるので、著名なデザイナーであれば1000万円はゆうに超えていますし、正直ピンきりといったところ。
あくまで企業での平均年収という点でみると、以下のようになります。
・Webデザイナーは347万円。(男性391万円、女性327万円)
※転職サイト Doda調べ
男女合わせた平均ではWebデザインの方がわずかに高いです。
キャリア的にはデザイナーの次にアートディレクターといったディクレター職にキャリアアップするので、平均年収はまだまだ上がります。
どちらが稼げるのか?という答えとしては、平均年収でみれば現状Webデザイナー。
これはWeb業界が急速な発展をし、人手不足であるからでしょう。
デザイナーに向いている人の特徴
観察力がある人(細かい所によく気付く)
最初にあげたいのが観察力。
デザイナーはどんな業界であれ、細やかさが求められる仕事です。
色やテキストなど様々な要素がある中、小さなミスにきちんと気付けるかというのも大事かなと思います。
また、デザイナーであればアイデアを出すことも仕事の一つですが、こればかりは普段から色んなものをインプットしておく必要があります。
そこでも観察力が重要で、電車の中吊り広告やお店の看板…日常に溢れるアイデアの種を見つけるための助けになるでしょう。
ちなみにデザイナーになると、より小さな所が気になるようになるので、チラシの文字サイズがやたら気になったり、商店街のポスターの配色が気持ち悪く感じたりする職業病が発生します…。笑
観察力の磨き方
ここで少し観察力の磨き方についてアドバイスですが、おすすめなのがデッサンです。
デッサンとは、目の前のモチーフを写実的に観察しながら描くことで、美大の試験でも必須。
観察力はかなり付きますし、上達が目に見えて分かるので、取り組んでみると意外と楽しみながらできますよ。
初心者におすすめな本は「鉛筆デッサン基本の「き」 やさしく、楽しく、デッサンを始めよう」
成長意欲、向上心がある人
どんな仕事でもやはり成長意欲は大事ですが、デザインのような常日頃、流行や新しい技術が目まぐるしく変わる仕事は特に大事です。
デザインの仕事を続けていると、だんだん自分の中で決まったフォーマットで同じようなデザインを使い回しするようになったり、新しいツールが出ても、「今のツールで満足してるから」と中々手を出さなくなったり。
自分をアップデートしていく、という気持ちがなければ時代に取り残されてしまいます。
このあたりは市場価値にも影響するところで、例えば写真の知識があるデザイナーとそうでないデザイナーとの差は同じキャリア年数であっても、年収や仕事の内容で大きく差が出てきます。
僕自身も、デザイン×マーケティングという掛け合わせで、周りの人との差別化を図ったりしました。
地道な仕事をコツコツできる人
学生であれば華やかな広告業界なんかに憧れを持ったりしがちですが、実際は地道な泥臭い仕事がほとんどです。
デザイナーの仕事は最終的な制作物が実績として残るので、周囲からの見栄えは良いのですが、裏では大量のボツ案や、納期との闘いがあったりと結構シビアな世界。
ほぼ完成間近でクライアントの一言で、アイデア出しからやり直しになる鬼のような展開もなくはないです。
そんな地道な仕事をコツコツ積み上げることのできる人が、デザイナーとしてはかなり素質があるかなと思います。
コミュニケーション能力の高い人
デザインの仕事は一人で完結することはありません。
必ずクライアントを始めとする関係者がいて、決定権もディレクターが持つことになります。
そこで自分のデザインのプレゼンをする必要があるのですが、これはコミュニケーション能力があればある程有利です。
事前に資料を作れば良いので、コミュニケーションが苦手な人も対策はできるのですが、質問への回答など上手く答えられるのがやはり理想。
僕自身もあまり得意な方ではないので、コミュニケーション能力の高い人が羨ましいなと思っていたところです。
既存のルールに縛られない人
語弊がありそうなので加えていうと、「既存のルールに縛られない柔軟な発想ができる人」です。
アイデアが斬新であれば高く評価されることもあるので、既存のルールや型に当てはめすぎない人は向いていると思います。
しかし注意しておきたいのが、デザイナーはアーティストではないということ。
デザイナーの仕事は「問題解決」です。
問題解決をするためのアイデアとして奇抜なのは良いですが、奇抜なアイデアが先行して問題解決が後回しになると、それはデザインではなくアートの領域です。
この辺りの話は下記記事で解説していますので興味のある方はチェックしてみて下さい。
僕自身もグラフィックデザインの仕事が多いのでよく分かるのですが、ビジュアルが作りをしたい人は向いているかなと思います。
例えばかっこいいCDジャケットを作りたい!とか、イケてる広告を作りたい!みたいな人ですね。
ただし、デザイナーの仕事はクライアントの問題解決です。アーティスティックな仕事だと思っていると面食らうので要注意です。
Webデザイナーに向いているのは、シンプルにWeb・インターネットが好きな人ですね。
Webサイトしかり、平面にはない動的なデザインもできるので、そういう方面に興味のある人は良いと思います。あとは、新しい技術に興味があるというのもありますね。
加えて情報設計という文脈で、ユーザーの体験もデザインしたいという人もおすすめ。どうすればユーザーがサイトを巡回しやすくなるかといった体験側の視点ですね。
よくあるデザイナーの間違った認識
絵が上手くなければならない
世間一般で意外と多いのが、デザイナー=絵が上手くなければならないという話。
そもそもデザイナーとイラストレーターの違いさえも混同されがちですが、デザイナーは基本的にイラストを描きません。
イラストレーターに発注した絵の上に、テキストや別の要素をレイアウトしたりする仕事はよくありますが、自らイラスト描くのは珍しい稀なケース。
ただ、もともとイラストを描くのが好きで、そのままデザイナーになった人は多いです。
先程挙げた、観察力という点では、絵が上手いとアドバンテージになるかなと思います。
手先が器用でなければいけない
業種にもよりますが、手先の器用さはあまり関係ないです。
僕自身も不器用で、折り紙すらまともに折れませんが、Web上のツールを使って仕事をするのでマウスさえ使えれば全く関係ありません。
ただ、パッケージ系のデザインなどは、一旦イメージとしてアナログで作るみたいな仕事も中にはあるので、そのような業種は器用だと良いですね。
美術系の学校であれば、制作物をパネルに印刷して貼り付けるなど、図工的な要素がちらほらあるので、最初めちゃくちゃ苦戦します。(僕の体験談です)
【補足】色弱・色盲だとデザイナーになれないのか
たまに色が多くの人と見え方が違う方がいます。
色弱、色盲といったりしますが、そういった方も中にはデザイナーとして普通に仕事をされています。
当事者ではないので、あくまで聞いた話なのですが、苦労はするが何とかそれなりに仕事はできるようです。
もちろん、どの程度のレベルかにもよりますが、基本的に色はツール上で数値化されます。
感覚的な要素だけではないので、なんとか乗り越えられるのかなと。
【まとめ】グラフィックデザイナーとWebデザイナーの違い
今回の記事のポイントです。
- グラフィックデザイナーは平面上のデザインを手掛ける仕事
- Webデザイナーは、Webサイトのデザインを手掛ける仕事
- Webデザイナーの方が将来性があるが、グラフィックの需要は決してなくならない
- Webデザイナーは習得すべきスキルが多い
- 平均年収はWebデザイナーが高い
- ビジュアル作りがしたい人はグラフィックデザイン
- Webが好きな人はWebデザインがおすすめ
専門学校より遥かにやすい価格で、グラフィック、Webともに学習できる。